学術会議叢書
『学術会議叢書』は、今日的なテーマについて、日本学術会議および委員会主催の公開シンポジウムや講演会などの記録をもとに、関連資料・解説を加え、分かりやすく編集しました。(A5判)
学術会議叢書23
子どもの健康を育むために─ 医療と教育のギャップを克服する ─
2017年3月21日発行 A5, 304頁, \1,800+消費税
日本が超少子高齢化社会となった今日、子どもの心身の健康を育むという点で私たちの社会はさまざまなリスクをはらんでいます。
日本のアカデミアは、そうした社会の課題に向き合い、問題解決に取り組み、エビデンスを提供し、発信をしてきました。
健康支援の場として重要な学校と医療の連携を目指し、多領域共同研究も多数行われてきましたが、両領域のギャップはなかなか埋まらない現実があります。
第23期日本学術会議臨床医学委員会出生・発達分科会は、発足当初から、医療と教育の連携、あるいは教育と医療の連携を目指し、活動を行っています。
本書は、本委員会での活動を経て至った現時点での提案をまとめ、さらには、子どもの健康に密接に関連する領域での第一人者でおられる先生方を迎え、現実問題の解決に役立つ視座の提供を目標として、平成28年度の『学術会議叢書23』として発刊いたしました。
目次
発刊に寄せて (p.2-4) | 日本学術会議会長 | 大西 隆 |
発刊に当たって (p.5-6) | 日本学術会議第二部会員・臨床医学委員会出生・発達分科会委員長、 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部長 |
神尾 陽子 |
第一部 子どもの健康を取り巻く今日の社会の課題とその解決に向けて:医療と教育それぞれの観点を踏まえて | ||
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睡眠と子どもの心身の発達 (p.13-27) | 東京医科大学睡眠学講座准教授 公益財団法人精神・神経科学振興財団理事、 日本学術会議連携会員 |
駒田 陽子 大川 匡子 |
メディア環境と子どもの発達 (p.29-47) | お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授 日本学術会議連携会員 |
菅原 ますみ |
子どもの貧困と健康:学校の役割 (p.49-66) | 首都大学東京都市教養学部人文・社会系教授 日本学術会議連携会員 |
阿部 彩 |
子どもの健康における社会格差と学校保健の課題 (p.67-79) | 愛知医科大学名誉教授 日本学術会議連携会員 |
小林 章雄 |
第二部 学校のなかの健康支援に医療が資するために :必要な取り組みおよび今後の課題 |
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小児期、青年期の精神心理的、及び行動上の問題に対する教育・医療連携の在り方について (p.83-98) | 国際医療福祉大学副学長 日本学術会議第二部会員 |
桃井 眞里子 |
子どもの心の健康を学校で育て、守る:教育と医療を統合した心の健康支援 (p.99-114) |
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部長、 日本学術会議第二部会員 |
神尾 陽子 |
小児~青年期の食・栄養の現状と課題─教育と医療の連携に向けて (p.115-127) |
帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科教授・学科長、 日本学術会議連携会員 |
児玉 浩子 |
学校管理下の安全─データを利活用し、実効的な予防活動を実践する (p.129-165) |
緑園こどもクリニック院長、 日本学術会議連携会員 産業技術総合研究所人工知能研究センター |
山中 龍宏 楠本 欣司 大野 美喜子 北村 光司 西田 佳史 |
メンタルヘルスと健康教育─医療からの提言 (p.167-180) | 東邦大学医学部精神神経医学講座教授 | 水野 雅文 |
メンタルヘルスと健康教育─予防の観点からの提言 (p.181-203) | 筑波大学名誉教授 (株)小学館集英社プロダクション顧問 |
高田 ゆり子 |
学校の健康支援の新たな仕組みの構築に向けて:日本医師会学校保健委員会活動を踏まえて(p.205-217) | 東京大学名誉教授 日本子ども家庭総合研究所名誉所長 |
衞藤 隆 |
第三部 市民公開シンポジウム「子どもの健康を育む時代のニーズにあった医療と教育の連携に向けて」 | ||
市民公開シンポジウム「子どもの健康を育む時代のニーズにあった医療と教育の連携に向けて」の趣旨(p.221-223) | 福岡市立病院機構福岡市立こども病院院長、日本学術会議連携会員 福岡学園・福岡歯科大学理事長、 日本学術会議連携会員 |
原 寿郎 水田 祥代 |
開会あいさつ(p.224-225) | 福岡学園・福岡歯科大学理事長 日本学術会議連携会員 |
水田 祥代 |
「病弱児」の学びを支える─変化しつつある教育の取組みと今後の課題 (p.227-251) |
関西学院大学教育学部教授 | 丹羽 登 |
教育と医療の連携のための人材育成─福岡教育大学や海外の実践を参考に (p.253-264) |
福岡教育大学大学院教育学研究科(教職大学院)教授 | 納富 恵子 |
附録 提言「健やかな次世代育成に関する提言」 平成26年8月21日 日本学術会議臨床医学委員会出生・発達分科会(p.265-289) 学校教育法施行令の一部を改正する政令の解説 「教育支援資料~障害のある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実~」より 平成25 年10月 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課(p.291-304) |
※執筆者の所属・略歴は、平成28年12月末日現在のものです。