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出版事業―学術会議叢書1

学術会議叢書1
『学術会議叢書』は、今日的なテーマについて、日本学術会議および委員会主催の公開シンポジウムや講演会などの記録をもとに、関連資料・解説を加え、分かりやすく編集しました。(A5判)


学術会議叢書1
生殖医療と生命倫理−不妊の悩み、科学者たちの提言−
1999年12月発行,A5,189頁, \1,800+消費税
   


生殖医療の急速な技術進歩をどう評価し、どう受け止めればいいのか。
医学、法学、社会学など、わが国を代表する専門家たちが提言。


目次
まえがき(p.3-7) 金岡祐一
目次(p.8-9)
日本学術会議公開講演会載録
第1部 「生殖医療と生命倫理」
科学は「開いた学術」として 重大な局面で、国民生活に役立つ存在に
(p.12-15)
・問題解決のために共同プロジェクトを組んで対処する時代
・生殖医療は「俯瞰型研究プロジェクト」の最初の試み
吉川弘之
人工授精・体外受精は不妊の夫婦には大きな福音! だが生命倫理をどうクリアするかが課題−生命倫理と日本学術会議−(p.17-27)
・現在日本でも、年間約7500人の体外受精児が誕生
・"生命倫理"についての討議は、いまだ結論は出ず…
・「自」と「他」だけでは割り切れない事例もいくつか
・「代理母」にはまだ多くの人が抵抗感を…
・そろそろ結論を出す期限を区切って検討すべき
吉田 修
未来のためにいま守りたい生命倫理 歴史を振り返って生殖医療の問題点をさぐる−生殖医療の進歩と倫理−(p.29-45)
・生殖医療200年の目覚しい歴史を振り返る
・たった1人が「会告」を破った波紋は大きい
・「法」と「会告」をミックスした理想のガイドラインを模索中
・体外で新しい命が誕生するプロセス
・ガイドラインを守ってこそ生命倫理を侵さない治療ができる
青野敏博
人工授精児・体外受精児に必要なものとは?
 −出生児の幸せな生涯の保証のために望まれる法・社会・倫理的対応−
(p.47-64)
・ドナー(提供者)がだれかは絶対秘密であるべき
・体外受精は多胎妊娠の危険性を覚悟しよう
・減胎は倫理的に割り切れない部分が多い
・顕微受精の危険性にも注意しよう
・健全な子を産むために着床前診断が必要なことも
・非配偶者間の人工授精児はいまなお法的身分が不安定  他
中谷瑾子
人工授精児・体外受精児の立場を守るために活用したい法律
 −人工生殖と家族と法−
(p.65-75)
・あなたは代理母容認派?批判派?
・人工授精児にも無視できない戸籍制度の重圧
・民法の「嫡出推定制度」が人工生殖子の身分を安定させる
・親子関係でほんとうにたいせつなのは血のつながりか?
・21世紀の人工生殖への提言
水野紀子
欧米の規制方法から日本は何を学ぶべきか
 −欧米における生殖技術規制の論理と態勢−
(p.77-85)
・日本の医師には強制参加の身分団体がない
・イギリス、ドイツ、フランスは三国三様のユニークな法律を制定
・アメリカは過激な中絶論議で大幅に出遅れる
米本昌平
パネルディスカッション
法律の遅れは人間を神にしてしまうのか
(p.87-107)
・法律は何を守ってきたか。その検証から論議を
・親子関係だけは法律のほうがいいのでは
・どういう形のガイドラインにすべきか
・生命倫理、アメリカとヨーロッパではほとんど別世界
・特有な日本の文化の中で、生命倫理の問題をどうとらえていくか












【パネリスト】(発言順)
京都大学名誉教授      吉田 修
東北大学法学部教授
 水野紀子
三菱化学生命科学研究所社会生命科学研究室長
 米本昌平
慶応義塾大学名誉教授
 中谷瑾子
徳島大学教授・附属病院長
 青野敏博

【司会】
日本学術会議第2部長      大木雅夫
日本学術会議第7部長      金岡祐一
日本学術会議第1部副部長
 吉田民人
『学術の動向』1999年4月号特集再録
第2部 「生殖医療とその社会的受容」
生殖医療とその社会的受容(p.110-111) 吉田民人
黒川 清
不妊治療の倫理問題(p.112-118)
・「実子」という感のする「自子宮」
・子の父を知る権利について
・ガイドラインの実効性の保証
加藤尚武
生殖医療を文化的・社会的文脈に置きかえす(p.119-128)
・生殖医療の視点と枠組み
・生殖へのさまざまな視点
・ジェンダー分析とその意義
・「患者のため」という陥穽
・生殖医療を評価・規制する際のジェンダー
・選択が尊重される社会に
柘植あづみ
医療プロフェッションの責務−ドイツの事例から−(p.129-137)
・二つの政策課題
・政策決定過程と医療プロフェッションの役割
・子どもの幸福
・生命操作をめぐって
・医療プロフェッションの責務
市野川容孝
人工的生殖補助技術利用の法的規制をめぐって(p.138-147
・出発点としての「子をもつ自由」
・検討を必要とする諸事項
・ふたたび「子をもつ自由」
岩志和一郎
生殖補助医療の現状と将来(p.148-158)
・不妊に福音もたらすART
・IVF-ETの妊娠率は頭打ち
・顕微授精は男性不妊を解決したか
・望まれる胚凍結保存の普及
・極めて高度な着床前遺伝子診断
・非配偶者の関与する生殖医療
森 崇英
「多胎妊娠とその問題点」−生殖医療と生命倫理−(p.159-172)
・多胎妊娠の増加
・周産期死亡と後障害
・多胎妊娠の原因
・排卵誘発法
・多胎妊娠と減数(胎)手術
・減数(胎)手術の倫理性  他
矢内原 巧
生殖の人為支配−動物生産から臨床応用へ−(p.173-187)
・改良増殖を目的とした新技術開発
・-196℃の精子からも正常な子ウシが
・動物は100%借り腹移植
・伴性劣性遺伝性疾患の回避
・一卵性双子〜多数子の生産(クローニング)
・生命倫理面からの議論も  他
入谷 明
あとがき(p.188-189) 金岡祐一

*演者および執筆者の所属等:第1部の演者は1999年9月30日現在、第2部の執筆者は1999年4月1日現在のものです。
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